現在の年収が、一般的に見て高いか低いか気になったことがある人も多いのではないでしょうか。
年収に関するデータでは、統計で平均値と中央値が出されている場合があります。
この2つは似て非なる言葉であり、働く人の年齢や業界、業種によってもこの数値は大きく変わるため、一概に年収の多少を比べることはできません。
この記事では、平均値と中央値の違いの他に、国税庁と厚生労働省が発表したデータを基にした年齢・性別・業界・業種別の年収について解説します。
さらに年収アップの方法についても紹介しますので、これから収入を増やしたいと考えている人は参考にしてください。
日本の平均年収は443万円
全体 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
443万円 | 545万円 | 302万円 |
国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は433万円です。
性別ごとの正社員で見ると、男性が570万円、女性が302万円でした。
平均年収は2021年から2018年にかけて前年比を上回る右肩あがりを見せていたのですが、2019年から2020年にかけて、平均年収が前年比を下回るようになっています。
これは2019年に世界的で大きな問題となった、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において、国税庁「新型コロナウイルス感染症に関する対応等について」で経済が縮小された背景が考えられます。
平均年収はおかしい?平均値と中央値はどちらを見るべき?
平均年収をみると「平均年収は高すぎない?おかしいのでは?」と感じる方もいると思います。
「多くの人はどのくらいの年収なんだろう」と調べていくと、平均値と中央値という言葉が出てきます。
平均値と中央値のそれぞれの意味は以下のとおりです。
- 平均値:データを全て合計し、データの件数で割った数値
- 中央値:データを集めた中の、ちょうど真ん中の数値
平均値の場合、集めたデータの最高値と最低値に大きく影響を受けるのが特徴です。
年収が低い人も高い人も等しく集計上の数字に加味されていることが理由といえます。
一般的な相場が分かりにくくなり、目的とする数値を導き出せなくなる点がデメリットです。
平均値はばらつきが出やすい
先ほども述べたように、平均値は最高値と最低値から大きな影響を受けるため、データの数値としてばらつきが出やすい所があります。
数値のばらつきの大きさから、多くの人を対象としている一般層を表しているとは限らないのです。
ABCDEの年収を例に平均値を算出します。
A | B | C | D | E | |
---|---|---|---|---|---|
年収(万円) | 1,000 | 550 | 300 | 700 | 400 |
この場合、ABCDEの年収平均値を算出する式は
(1000+550+300+700+400)÷5=590万円
となります。
この平均の数値である590万円を上回っているのはAとDのたったの2人のみです。
平均値として算出した数値からもわかるように、一般的な数値とは言い難いものがあります。
中央値の方が現実的な数値
中央値は、最高値や最低値がいくらであっても数値への影響がほとんどありません。
中央値とは、最高値も最低値も並べた中で真ん中に位置するデータだからです。
「データ全体の一般的な数値を知りたい」場合には、数値を大きいものから小さいものに順に並べていき、その真ん中に位置する中央値が現実的な「真ん中」といえます。
今回は5人の年収で中央値を出していきましょう。
A | B | C | D | E | |
---|---|---|---|---|---|
年収(万円) | 1,000 | 550 | 300 | 700 | 400 |
上記のAからEの年収を大きさ数値の順に並べると以下のとおりになります。
A1000万円→D700万円→B550万円→E400万円→C300万円
つまり真ん中であるBの550万円は、最高値や最低値に関係なく真ん中に位置する数値といえます。
全国の年収の中央値と平均年収
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」 の結果を見ると、日本人の月の賃金の中央値は約27万円で年間の賃金にすると約324万円でした。
以下では全国の年収の平均について、年齢や性別、職業、雇用形態ごとに紹介します。
なお、中央値は「厚生労働省」「国税庁」の両者間の調査結果を基に算出する必要がありますが、どちらも算出方法が異なり、実態とは乖離する可能性があるので平均値でのみの紹介となります。
年代・男女別で見る平均年収
年代 | 全体 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 269万円 | 287万円 | 249万円 |
25~29歳 | 371万円 | 404万円 | 328万円 |
30~34歳 | 413万円 | 472万円 | 322万円 |
34~39歳 | 449万円 | 533万円 | 321万円 |
40~44歳 | 480万円 | 584万円 | 324万円 |
45~49歳 | 504万円 | 630万円 | 328万円 |
50~54歳 | 520万円 | 664万円 | 328万円 |
55~59歳 | 529万円 | 687万円 | 316万円 |
60~64歳 | 423万円 | 537万円 | 262万円 |
65~69歳 | 338万円 | 423万円 | 216万円 |
70歳以上 | 300万円 | 369万円 | 210万円 |
平均 | 443万円 | 545万円 | 302万円 |
年代・男女別の年収の中央値と平均です。
年齢が若いほど年収は低い値ですが、次第に歳を重ねるごとに仕事の幅や責任も増え成果が認められることから、年収は増える傾向にあります。
しかし、一般的に定年を迎える60歳以降は雇用形態の変化や退職、年金の受給なども関係し、年収が大幅に下がる傾向があります。
また、20代は大きな年収の差はありませんが、30代以降から男女の年収の差が拡大してくる傾向がある点が特徴です。
30代以降、多くの女性は結婚や出産などのライフスタイル・キャリアプランの変化によって働き方が大きく変わることが背景として考えられます。
業界・業種別で見る平均年収ランキング
ランキング | 年代 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 766万円 |
2 | 金融・保険業 | 677万円 |
3 | IT・情報通信業 | 624万円 |
4 | 学術研究・専門サービス業 | 521万円 |
5 | 学術研究、専門・技術サービス業 | 521万円 |
6 | 教育、学習支援業 | 521万円 |
7 | 製造業 | 516万円 |
8 | 建設業 | 511万円 |
9 | 複合サービス事業 | 494万円 |
10 | 不動産業・物品賃貸業 | 426万円 |
11 | 運送業・郵便業 | 425万円 |
12 | 医療、福祉 | 407万円 |
13 | 卸売業・小売業 | 377万円 |
14 | 生活関連サービス業、娯楽業 | 369万円 |
15 | サービス業 | 369万円 |
16 | 宿泊業・飲食サービス業 | 260万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業など、ライフラインに関わる業界が全体的に見て高年収の傾向があります。
一方、一番低い業界・業種として宿泊業・飲食サービス業が挙げられますが、先ほどあげた高年収の業界の約3分の1の年収です。
宿泊業・飲食サービス業の年収が低く、これほどまでに差が生まれるのは「利用者が安いサービスを求めている」「過当競争」などの理由があります。
同じサービス業というくくりででも、業界が変わることで年収が大きく変わるパターンも見て取れます。
同じ知識を活用し、仕事に活かしていく場合でも顧客のターゲットや業界全体の豊かさや経済的余裕なども関係するためです。
現在の知識や経験を活かしながら年収アップを狙う場合、思い切って業界を変えるのも方法の1つといえます。
雇用形態別で見る平均年収
雇用形態 | 平均年収 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
正社員 | 約508万円 | 約570万円 | 約389万円 |
非正規社員 | 約198万円 | 約267万円 | 約162万円 |
正規社員と非正規社員を比較すると、平均で300万円以上の差があるといえます。
年収として1年単位で見たとしてもこれだけの差があるため、生涯年収として考えるとさらに大きな差が生じることは明らかです。
生涯年収として計算すると5,000万円以上の差が生まれると考えられます。
そのため、ライフプランや生活スタイルにも大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
マイホームの有無、子供の教育、老後資金などお金に関する悩みを少しでも軽くするためにも、正規社員として働くことをおすすめします。
年収をアップさせる方法
年収の金額は人生のライフプランや生活スタイルに大きな影響を及ぼすことがいえます。
年収が増えた場合、これまでは難しかったことや物が手に入る可能性が高まるのです。
今後の人生をさらに充実させるためにも、以下では年収をアップさせる方法を紹介します。
昇進や昇級を狙って年収を上げる
今働いている職場で仕事の幅を広げ、収入を増やしていく方法があります。
現時点よりも高い役職に就き、責任と裁量をアップさせることでそれに見合った年収へとアップするでしょう。
役職に就かない場合でも、仕事で成果をあげることで内部評価をあげることも年収アップの近道です。
仕事で成果をあげ会社に利益をもたらすことによって、いなくてはならない存在と認識されることになります。
結果として、貢献度が高い人物として、成果に見合う年収アップが実現するでしょう。
昇進や昇級を狙う場合、現時点でできるアクションはいくつかありますが、一例として以下のようなことが挙げられます。
- 資格取得:活用できる資格を取得することで仕事の幅を広げる。
- 問題解決能力を高め、自発的に動く:仕事で何が問題か、どうするべきかを自ら考え、行動にうつし解決をはかる。
副業をして年収をあげる
現状で昇進や昇級が難しい場合、副業で本業とは別のプラスアルファの収入を手に入れることができます。
政府としてもキャリア形成や自己実現の追求の目的、収入の増加から副業を推進していることもあり、状況によっては副業で収入アップが見込めるのです。
就業後の空き時間で、スキルを活かしたクラウドソーシングを活用して仕事を請け負うことで収入アップとスキルアップの一石二鳥を狙えます。
ただし、副業はあくまでサブとしての仕事であり、本業をきちんとこなしていることが大前提といえます。
副業に時間や労力をとられ、本業が疎かになるようなことはないよう気をつけてください。
また、職場によっては副業に制限や条件があるケースも考えられます。
副業を始める前に、就業規則などを確認してください。
今よりも給与が良い会社へ転職する
今の職場で働き続けるよりも、給与がいい会社へ転職し年収アップを試みるのも方法の1つです。
職場全体の賃金形態が低い、働きを正当に評価・給与に反映していないなどの原因で、十分な年収を手にできないこともあるためです。
働きや成果に対して収入が少ない場合、転職によって評価や働き方が変わることで年収アップが見込めます。
2019年に、経団連の定例会で終身雇用の限界に言及したことがありました。
このからも分かるように、長期間一社のみで勤め上げる終身雇用は徐々に終わりを見せつつあります。
自らのスキルの棚卸しや、キャリアプランの見直しなどを行い、有意義な転職になるよう働きかけることがポイントです。
転職する際に気をつけるポイント
転職をするためには事前準備がカギとなります。
何を目的に、どのような仕事をするか、年収アップはどのくらいの額を視野に入れているか整理することで、転職先選びのヒントとなるためです。
後悔しないためにも、以下で紹介する転職の際に気をつけるべきポイントを意識してください。
福利厚生や会社独自の制度の確認
転職先の福利厚生や会社独自の制度の有無は確認すべきといえます。
なぜなら、福利厚生や制度の充実度は働きやすさを左右する部分だからです。
社会保険や雇用保険など法律で定められて法的福利厚生の有無はもちろんですが、育児・介護休暇の有無もしっかり確認してください。
一見して高い年収が提示されていても、福利厚生などが整っていない場合、手取りの減少や出費の増加も考えられるためです。
また、近年ではユニークな福利厚生や嬉しい制度として、一部企業では以下のようなものもあります。
- 社員の知見を広げるために海外旅行の費用を一部負担する
- 誕生日休暇
- 予防接種の費用負担
- 在宅勤務手当
例えば結婚や出産、両親の介護など状況やライフスタイルの変化でこれまでと変わりなく働くことが難しくなるケースも考えられます。
ライフスタイルの変化で通常の勤務が難しくなることや収入減少は誰しもが起こりうることです。
私生活の充実や働きやすさは、パフォーマンスの高い仕事の成果を生み出すために必要不可欠といえます。
よりよく働く、公私ともに充実した生活をおくるためには、自ら会社について知ることが大切です。
どのような福利厚生や制度があるのか、利用している人の有無なども含めて確認することをおすすめします。
会社の評価制度の確認
転職する前に、会社の評価制度や基準なども確認することをおすすめします。
自分がどのように評価されるのか、評価の結果どのような働きかけがあるのか知ることで、働きやすさや成果をあげる際の難易度が変わってくるためです。
会社の評価制度を確認することで、自分がどのように評価されるか把握が可能になります。
また、評価制度の公平さ、実績や成果に基づいた評価がされるかによって収入はもちろん、昇級や昇格の可能性も出てくるのです。
適切な評価制度が整っている企業では、ボーナスの増額や、年収アップに繋がりやすいといえます。
評価をうけ、年収も上がれば仕事へのモチベーションもアップするでしょう。
年収を上げるためにおすすめの転職エージェント
年収アップのために転職をする場合、客観的なアドバイスと専門性の高いサポートが成功の近道になります。
転職エージェントを利用することで、短期間かつ最小限の費用で転職成功の可能性が高まるはずです。
転職エージェントは数多くありますが、中でも利用者・実績ともにおすすめできる転職サイトは以下のとおりです。
おすすめ転職サイト | 求人数 | 対応地域 | 職種 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
![]() | 約36万件 | 日本全国 | 全職種 | ・圧倒的な求人数の多さ ・どの年代や職種にも対応 |
![]() | 約18万件 | 日本全国 | 全職種 | ・充実した内容や専門性の高いキャリアドバイザーによるサポート |
![]() | 約3万件 | 日本全国 | ハイクラス中心 | ・ハイクラス向けの転職エージェント ・女性向けの転職にも力を入れている |
リクルートエージェント

運営 | 株式会社リクルート |
求人数 | 約36万件 |
対応地域 | 日本全国 |
職種 | 全職種 |
公式サイト | https://www.r-agent.com/business/ |
リクルートエージェントの特徴は、長年の転職成功実績とコンサルタントのクオリティの高さです。
リクルートエージェントのキャリアアドバイザーはそれぞれ担当領域や得意分野があります。
自分の希望するキャリアに合ったキャリアアドバイザーが二人三脚で丁寧に転職のサポートをしてくれるのが特徴です。
求人は21万件以上と他の追随を許さない件数を保有しています。
そのため、都市圏・地方関わらず希望するキャリアが描ける求人に出会える確率が高いでしょう。
- 転職成功実績がNo.1なので信頼できる
- 公開、非公開の求人あわせても21万件以上の求人数
- 専門のコンサルタントがフルサポートしてくれるので初心者にも安心
doda

運営 | パーソルキャリア株式会社 |
求人数 | 約18万件 |
対応地域 | 日本全国 |
職種 | 全職種 |
公式サイト | https://doda.jp/ |
dodaの特徴として、圧倒的な公開求人数に加え企業からのスカウトメールの多さが挙げられます。
職歴や自らの強みを登録しておくことで、企業側から声がかかるサービスがあります。
他のエージェントでも見られるサービスですが、dodaは他と比べるとスカウトメールが多い傾向があるのです。
自分の市場価値に気づくきっかけになることはもちろん、転職経験が浅い人でも転職の方向性が見つけやすくなるでしょう。
さらに求人の範囲は全国規模のため、都市圏での就職はもちろん、IターンやUターンにも対応している点が魅力といえます。
- 圧倒的な公開求人数
- 全国展開+全職種対応で幅広い転職者に向けたサービス
- エージェンサービスにも対応しているので転職経験が浅い方でも安心
パソナキャリア

運営 | 株式会社パソナ |
求人数 | 約3万件 |
対応地域 | 日本全国 |
職種 | ハイクラス中心 |
公式サイト | https://www.pasonacareer.jp/ |
パソナキャリアは、ハイクラス転職に強みを発揮するエージェントです。
キャリアアップを視野に入れた転職をしたい人や、自らの能力を海外で試したいと考えている人に対応した求人が数多く揃っています。
さらに面接対策から年収の交渉に至るまで手厚いサポートがある点がメリットです。
自分では交渉しにくい内容も担当者に任せることができます。
オリコン顧客満足度では年間1位を連続して獲得しているため、転職希望者からの根強い人気があるといえるでしょう。
- ハイクラス系の職種・業種が中心
- 面接対策から年収の交渉などアドバイザーのサポートが手厚い
- オリコン顧客満足度で転職エージェント総合1位を取っている
日本の平均年収についてのまとめ
- 年収の統計を見る時に平均と中央値がある場合は、数値のばらつきが少ない中央値を見るべき
- 年代や男女、業界や正規雇用か否かで年収は大きく変わる
- 年収をアップさせるために昇進や昇級、副業など社内でできることに取り組むのも方法の1つだが、転職もおすすめ
- 転職する場合は、事前準備や制度の確認などは欠かさずに行うべき
自分の年収が高いか低いか比べる場合は、より現実的な数値として弾き出された中央値を参考にするべきです。
年収はライフスタイルの変化や雇用形態、仕事内容などによっても左右される部分があります。
今以上の年収を望む場合、より成果や業績を評価し収入や昇級に反映する会社への転職も方法の1つです。
自分の力を最大限に活かせる企業に出会うためにも、福利厚生や評価制度の確認は怠らないようにしてください。
また、1人のみで転職先を探すより転職のプロであるエージェントのアドバイスを受けるのをおすすめします。
エージェントの利用によって、効率的に短期間でぴったりの転職先に出会える確率が高まる点がメリットです。